建物を解体したくても、貸主様と借主様との間のトラブルが原因でなかなか解体工事に踏み切れないこともあります。
「賃貸物件を撤去したいが、家賃を長期滞納している借主がいる」「老朽化したので解体したいが、立ち退き要請を拒否された」といったご相談も少なくありません。
ここでは、よくある賃貸トラブルの例とその対処方法を図を用いてご紹介します。
“どういった機関に相談していいか分からない”といって、いつまでも事態を放置してはおけません。特にアパートを経営をされていてお部屋をお貸ししているオーナー様に関しては、家賃の長期滞納には注意が必要です。なぜなら、長期滞納者からの家賃回収率は5%以下とも言われているからです。
弁護士に法律相談するとなると「高額な費用がかかる」「敷居が高い」そんなイメージをもたれる方も多いと思いますが、弁護士に相談するのが早道です。
自力救済は原則として法律で禁止されています
自力救済(じりききゅうさい)とは、法の定める手段を用いずに問題を解決することです。
自力救済は原則として法律で禁止されています。禁止される理由は、実力で行使することを許してしまうと社会秩序が保たれないからです。
また、たとえ賃貸借契約書に自力救済行為ができる条項があったとしても、公序良俗違反(こうじょりょうぞくいはん)として無効となる場合もあります。
さらに、自力救済をすると民事の損害賠償を命じられたり、刑事の犯罪で処罰される可能性すらあります。
トラブルの際は、まずは法律の専門家に相談することをお勧めします。
明け渡し訴訟(あけわたしそしょう)とは、借家人を強制退去させるために貸主側が行う訴訟です。
STEP 1
家賃滞納の催告
手紙・電話・訪問などで支払ってもらうよう伝えます。
対応してもらえない場合は連帯保証人に連絡し、同様に支払いを依頼しましょう。
STEP 2
配達証明付きの督促状・内容証明郵便を送付
催告に対応してもらえず、滞納が連続した場合は正式に請求書を送付します。
内容は、未払い家賃の支払いと家賃支払いに対応してもらえない場合に賃貸契約解除の通知を記載します。2点を記載することで、「いつ、どんな内容の書面を誰から誰に送ったか」を証明できます。
これらは裁判を行う際に必要な書類となります。賃借人から滞納家賃の支払いや建物の明け渡しの意思が確認できた場合は書面に合意事項をまとめましょう。
STEP 3
契約解除の通知
督促状・内容証明郵便を送っても対応がない場合、書面に設けた猶予期間を過ぎでも対応がない場合は賃借人に対して契約を解除する通知を送付します。
契約解除の通知も内容証明郵便で送りましょう。
STEP 4
明渡訴訟の提起
契約解除と明渡訴訟の提起を行います。
提起先は、借り主の住所を管轄する地方裁判所または簡易裁判所です。
不動産明渡請求訴訟の場合は、不動産の所在地を管轄する裁判所に提起します。
STEP 5
明明渡の交渉
明渡訴訟の確定判決が出たら、賃借人に対して明渡を要求します。
まずは話し合いで立ち退きを求めるのが一般的です。立ち退きの際に確認する項目は、
・建物の明け渡し ・建物内の荷物の撤去 ・鍵の引き渡し
・敷金と原状回復の精算 ・滞納した家賃の精算
不動産明渡請求訴訟の場合は、不動産の所在地を管轄する裁判所に提起します。
STEP 6
明渡の強制執行
話し合いに応じない・話し合いを行った後も建物を明け渡してもらえない場合は、裁判所の強制執行を行い強制的に立ち退いてもらいます。建物内にあった荷物は裁判所指定の倉庫に一定期間保管されます。倉庫保管には費用がかかり、賃借人は保管費用を払い引き取れます。引き取りに来ない場合、一定期間後に廃棄されます。
※強制執行にかかった費用(執行補助業者への費用や廃棄費用など)は、申立人が支払わなくてはいけません。
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