解体工事って、費用が高くつくので大変ですよね。
しかし、手続きの方法によっては、費用をグッと抑えることが可能です。
例えば、解体工事の手続きは、住宅メーカーにすべてお願いするより、自分で手配した方が金額が低く抑えられます。
そこで、この記事では、解体工事の手続きをする前に行うべき各種届出や準備について詳しく解説していきます。
解体工事の手続きは、費用をグッと抑えられるポイント。
本記事が、費用を抑える参考に少しでもなったら幸いです。
解体工事を行う前に必要な各種届出と手続き
解体工事の前には、「ライフラインの停止手続き(電気・ガスなど)」「行政への届け出(建設リサイクル法など)」が必要になります。
建設リサイクル法の申請
「建設リサイクル法」とは、「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」のことを指し、建築物に使用されている建設資材のリサイクルをはかるものです。
建築物の解体工事の場合、特定建設資材を用いた建築物であることが前提であり、更に床面積の合計が80m²以上のものが対象です。また、コンクリートやブロック等による工作物でも、請負代金が500万円以上のものは、建設リサイクル法の対象です。取り壊す建物がこの条件を満たす場合、解体工事を行う7日前までに都道府県知事へ届出書・分別解体計画表・付近見取り図・建築物の写真・工程表などを提出します。
建設リサイクル法の事前申請は、施主に提出の義務があります。忘れずに解体工事前に届出を行いましょう。届出は解体業者に委任という形でお願いすることもできます。忙しくて書類を書く時間がない、という人は、事前に解体業者へ建設リサイクル法の申請を依頼できるか聞いておきましょう。
道路使用許可の申請
解体工事を行う敷地内に重機の駐車スペースを確保できる場合は必要ありませんが、やむを得ず公道に駐車することになる場合は「道路使用許可申請」が必要です。
道路の用許可申請は、駐車方法を記した図面と申請書を、市役所でなく所轄の警察署へ提出します。
道路使用許可申請は解体業者が有償で行いますが、工事を依頼する施主側が申請することも可能です。もし少しでも解体工事の費用を安く抑えたい場合は、申請書を期日までに作成・警察署に提出するので、そのぶんの費用を割り引いて欲しいという交渉もできます。
そのため、解体業者と依頼主どちらが提出しても良いのですが、一般的には解体業者が提出を行うことがおおいです。また、申請は法律で義務付けられているため、道路使用許可申請をきちんと提出しているか、解体業者へ確認を取りましょう。
道路使用許可申請は、申請を義務付けられています。この手続きは、解体工事業者が有償で行うことが一般的です。
契約の際は、解体工事の契約の際に、以下の項目が書かれているかもしれません。
道路使用許可書申請費 〇〇円
このように、契約の内容に盛り込まれている場合もあります。ちなみに施主(解体工事依頼主)が、この申請書を提出するのも可能です。発注する前でしたら、値引きをする代わりにこちらの費用がサービスしてもらえる場合もありますので、交渉してみてください。
この道路使用許可申請ですが、自分で手配することも可能です。自分で行った場合、業者に委託するよりも金額は抑えられます。申請自体はそれほど難しいわけでもなく、道路使用許可申請書に必要事項を書くことでできます。
ライフラインの停止
解体工事を行う際、電気・ガス・インターネット回線・電話回線など、すべてのライフラインを停止しなければなりません。手続きの仕方は供給会社によって異なりますが、必ず工事を行う前に余裕をもって連絡しておきましょう。供給を受けたまま取り壊しを始めてしまうと危険な場合もあります。
小屋や納屋に電気・ガス・水道などを引いている場合は、解体作業を始める前に停止の手続きを行います。
なお、解体時に散水を行う場合があるため、水道のみ止めないようにしましょう。
浄化槽の汲み取り(中身の処理)依頼
浄化槽を使用している場合、解体業者に撤去して貰う必要があります。
そのままでは解体業者も撤去することは出来ないので、浄化槽の汲み取り作業をあらかじめ業者に依頼して、きれいな状態にしておくことが必要です。各市区町村によって、浄化槽の扱いは変わってきますので、問い合わせてください。
汲み取り後の浄化槽であれば、解体業者が撤去することができるのでお願いしましょう。金額も大きさによって変動しますが、5~7人槽であれば、3万円~5万円程度の追加料金が相場です。しかし、この項目がなかったり、極端に金額が低い場合は、撤去ではなくその場に埋めてしまう砂埋め方式を採用する場合があります。
浄化槽の砂埋めは、廃棄物処理法違反とされ、処罰される可能性が高いため、撤去してもらうようにしてください。
解体工事業者から出されたお見積りも確認してみましょう。
アスベスト(石綿)事前調査結果の報告完了を施工者に確認
施工者に対し、アスベスト調査の結果報告が適切に行われているか確認しましょう。
施工者には、事前調査の結果を発注者に書面で説明する義務があります。また、次の条件に該当する場合、施工者には事前調査の結果を都道府県と労働基準監督署に報告する義務も発生します。
- 建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80m²以上)
- 建築物の改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
- 工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
報告には原則として電子システム「石綿事前調査結果報告システム」を利用します。このシステムは24時間オンラインで対応しており、1回の操作で都道府県と労働基準監督署の両方に報告できます。書面での報告も可能ですが、その場合は都道府県および労働基準監督署にそれぞれ書類を提出する必要があります。
「特定粉じん排出等作業実施届出書」の提出
アスベストを含む吹付け材や保温材などが使用されている建築物を解体する際には、大気汚染防止法に基づいて「特定粉じん排出等作業実施届出書」を提出する必要があります。この届出書は、着工する14日前までに解体工事を行う地域を所管する自治体に提出しなければなりません。
「石綿飛散防止方法等計画届出書」の提出
次の規模要件のいずれかに該当する場合には、「特定粉じん排出等作業実施届出書」に併せて、環境確保条例に基づく「石綿飛散防止方法等計画届出書」を提出する必要があります。
- 使用されている石綿含有吹付け材の面積が15m²以上
- 建築物の延べ面積(建築物以外の工作物の場合には築造面積)が500m²以上
この届出書は、着工する14日前までに解体工事を行う地域を所管する自治体に提出しなければなりません。
参考 《大気汚染防止法・環境確保条例》特定粉じん排出等作業(アスベスト)に係る届出等 環境局
近隣への挨拶まわり
解体工事は建物の所有者の事情で行うものですが、騒音・振動・粉塵飛散など、近隣に住む方々にも多大な影響があります。きちんと理解と協力を得ていなければ、トラブルのもとになってしまいます。そのため、近隣への挨拶まわりは必ず行うことをおすすめします。
具体的な作業内容や日時をお伝えし、解体工事に対する不安感をなくしてもらうことが何よりも重要です。
近隣挨拶については、こちらの記事で詳しく解説しています。
井戸の処理を検討
敷地内に井戸がある場合は、家屋の解体にあわせて井戸を解体・撤去するかの検討も必要です。井戸は撤去工事の前にお祓いをするのが一般化しているので、解体・撤去を決めた際は事前に近所の神社に依頼しましょう。
当サイトには、井戸の解体・撤去についてまとめた記事があります。詳しくはこちらを参考にしてください。
また、井戸を廃止・変更するにあたって、行政への届け出が必要な場合があります。届け出の内容や必要な書類は、各自治体の地下水に関連する条例や、井戸の規模、工業用か家庭用かによって異なります。お住まいの地域の自治体の窓口やホームページで確認してください。
家屋の解体後に行う手続き
家屋の解体が完了した後にも、必要な手続きが2つあります。
家屋解体後の手続き | 手続きに必要な書類 | 特徴 |
---|---|---|
建物滅失登記の申請 | 自分で用意する書類 1 建物滅失登記申請書 2 住宅地図 3 建物滅失登記申請書のコピー1部 4 委任状(申請を第三者に委任する場合のみ) 解体業者から入手する書類 1 建物滅失証明書(取り毀し証明書) 2 解体業者の印鑑登録証明書 3 解体業者の資格証明書及び会社登記謄本(印鑑登録証明書に法人番号12桁の記載がない場合のみ) |
建物滅失登記申請は、土地から建物がなくなったことを登記するための手続きです。家屋の解体が完了してから1か月以内に、必要書類をそろえて法務局に申請します。 |
工事中に使用した水道の停止 | なし | 家屋の解体中は散水を行うため、水道を使用します。そのため、工事が完了したら水道を止める必要があります。電話などで手続きを行うことが一般的なので、書類の提出は必要ありません。 |
解体工事の手続きについてのまとめ
解体工事の手続き前に施主がやるべきことは沢山あります。解体工事業者に相見積りをお願いして業者を決定するだけでなく、不要品の処分(粗大ごみや電化製品など)や電気、ガス、インターネット回線、電話回線等の停止、浄化槽の汲み取りなど、近隣の挨拶など、さまざまです。
解体工事業者や近隣住民へのトラブルを避けるためにも、一つひとつやるべきことを明確化し、実行することをおすすめします。
最初は難しいと思うかもしれませんが、一つひとつ丁寧に行っていくとそれほど難しくないので、本記事を確認しながら進めてみてくださいね。