ガソリンスタンドを取り壊して更地にするとき、まずは「どうやったら取り壊せるのだろう?」と考えるのではないでしょうか?
危険物を扱うところだし、地下には巨大なタンクが埋まっています。「簡単には取り壊せないだろう…」、「跡地に新たな建物を建てられるだろうか?」と考えますよね。
今回は、ガソリンスタンドを解体する際、どのような注意点があるのか?そして解体工事はどのようにして行うのか?についてご紹介します。
また、もし条件に合えば補助金が受けられるかもしれません。そちらも合わせて確認していきましょう。
ガソリンスタンドの解体工事の特徴
ガソリンスタンドの壁は防火壁となっており、地下のタンクは分厚い土間で覆われ、地下タンクの素材や厚みの基準も、とても厳しく定められています。
そのため災害時には他の建物よりも倒壊のおそれが低く、安全とまで言われ、先の大震災においても自衛隊の給油拠点となるなど、揺れに強く、火災にも強い構造になっています。
そんな、頑丈だけれども危険でもあるガソリンスタンドを解体するには、それなりの知識や経験、重機などが必要です。
地下タンクを撤去するか廃止するか選択する
ガソリンスタンドを解体する際、地下の貯蔵タンクの処理の仕方は二通りあります。
- タンクを地下から完全に撤去する
- タンクに水や砂を詰め、上からコンクリートを流し込み、廃止する
ただし後者の場合は、地中にタンクが埋まったままなので、地上に新しい建物を建てることは禁止されています。
しかし、タンクを撤去するには多額の費用がかかるため、撤去工事に比べてかなり安価な廃止工事のみ完了させて、跡地を放置している場合が多くあるのです。
ガソリンスタンドの跡地で油汚染が発生している場合がある
また、地下タンクを撤去したあとに、ガソリンが土壌に染み出したことによる土壌汚染や油汚染がおきている可能性もあります。
土壌汚染とは、人間の体に有害な物質(ここでは特定有害物質)によって土壌が汚染された状態のことをいいます。歴史上で見ると、日本の「公害の原点」ともいわれる、足尾銅山鉱毒事件が土壌汚染の事例のひとつですね。
有害物質によって土壌が汚染されると、土壌から有害物質が溶け出し、地下水を経由して飲用されたり、土壌から舞った埃などを吸い込んだりすることで、口や鼻から摂取してしまい、直接的に健康被害を受けてしまいます。
ガソリンにもかつては土壌汚染の原因となる特定有害物質が含まれていました。
ガソリンに含まれる特定有害物質を処分する
第1種:ベンゼン
1996年 ガソリン中のベンゼン濃度を5%以下に規制される
2000年 規定の厳格化により含有量1%以下に
第2種:鉛
1975年 レギュラーガソリンの完全無鉛化
1983年 無鉛プレミアムガソリンの発売
1987年 有鉛プレミアムガソリンの生産・販売中止
(参考:コスモエネルギーホールディングス「環境報告書2003」より)
現在ではガソリンには特定有害物質はほとんど含まれていません。しかしながら30年、40年と長期経営されてきたガソリンスタンドの跡地からは有害物質が検出されることがあります。
これら有害物質は自然に消えてなくなることはなく、何年経っても地中に残るため、もし検出された場合には適切な処理をしなければ、その後の土地利用はできません。
油汚染とは、土壌汚染とは違い、特定有害物質は含んでいないものの、油が土壌に染み込むことにより、その土地や周辺の土地を使用する人たちが油の臭いを感じたり、井戸や用水路に油が浮いているのを見たりすることで、不快感や違和感を感じるなど、生活環境に影響を及ぼすほどの汚染が起きている状態のことをいいます。
油汚染は土壌汚染の場合と異なり、法的な基準値や規制値などは定められていません。なぜなら、地形や土の成分などはそれぞれの現場によって違い、また汚染の被害が地下水などを介して広い範囲にわたる場合もあります。さらに油には、土に漏れてから変化する性質もあるので、基準値や規制値を定めようにも一概に言えず、難しいのです。
以上のように、土壌汚染は人体に悪影響を及ぼすために、基準値などもしっかりと定められていますが、油汚染の場合は今のところ法的な規制がなく、人の感覚によって検知され、対策されています。
環境省のページでは「土壌汚染対策法」と「油汚染対策ガイドライン」を閲覧することができます。それぞれの捉え方や対策の違いを以下で確認していきましょう。
土壌汚染対策法
目的:人の健康被害の防止
対象物質:特定有害物質(ガソリンの場合、鉛やベンゼンなど)
調査の契機:特定施設の廃止時、都道府県知事の命令があったとき
基準値:あり
特徴:法で定められた調査方法がある
油汚染対策ガイドライン
目的:生活環境保全上の支障を除去(土地利用者が不快に感じないようにする)
対象物質:鉱油類(ガソリン・灯油・軽油などの燃料油や、機械油などの潤滑油など)
調査の契機:土地所有者等が油膜を発見、油臭を感知したときなど
基準値:なし
特徴:個別の土地ごとに人の感覚で油臭・油膜を判断する
(参考:環境省パンフ「油汚染対策ガイドラインのご紹介」より)
今現在、ガソリンスタンドは解体後の土壌汚染調査が必須となる「特定施設」とは定められていません。ただ、東京都などいくつかの自治体ではすでに調査が義務づけられています。
油汚染においても、年々大きな社会問題となってきているため、いずれは基準が定められ対策が必須となるかもしれません。
ガソリンスタンドの解体工事、土壌汚染調査の手順
ガソリンスタンドの解体は、建物の解体を請け負っている解体業者さんに依頼すれば、解体・撤去することができます。
ただし、危険物の撤去を含む工事となるため、「危険物取扱者」という特別な資格をもっていて、それなりの知識と経験、特別な道具や重機をもっている業者さんを選ぶ必要があります。
ガソリンスタンド解体の手順
ガソリンスタンドはどのようにして解体されるのか?手順を見ていきましょう。ガソリンスタンドの構造は次のイラストのようになっています。
(参照元:まもっちSS 大分県石油商業組合「ガソリンスタンドの仕組み」)
まずは、施設の仮囲いを行い、危険物である地下貯蔵タンクと配管の処理をしていきます。自治体によっては事前に土壌調査が必要になる場合もあるので、諸手続きを行う際に自治体に確認しておきましょう。
地下貯蔵タンク処理の手順
① 残ったオイルを抜き取る
ガソリンは全部使い切っていたとしても、吸いきれなかった分がタンク内にかなり残っています。まずはタンク内のガソリンをバキュームカーなどでできるかぎり抜き取っていきます。
② 中和剤などでタンク内を洗浄する
タンク内の残油を抜き取ったあとは、油を中和する特殊な薬剤(中和剤、乳化剤とも呼ぶ)を混ぜた水をタンク内に高圧洗浄機などで吹きつけ、洗浄していきます。
③ タンク内の油が落としきれたか確認する
タンク内の洗浄が完了したら、タンク内に水を張り、浮いてきた水面を見て、油膜がないか確認します。またはガス検知器でタンク内に可燃性蒸気がないことを確認します。
④-a タンクを撤去する場合
地下タンクを最終的に撤去する場合は、タンク内のガソリンが抜き取れたのを確認したあと、タンク内に不燃性の窒素ガスを充填するなどして、可燃性ガスの発生を防ぐ処置をします。
④-b タンクを廃止する場合
地下タンクを地中に埋まったままにする場合でも、タンクの廃止作業が必要です。①~③の手順でタンクを洗浄したのち、タンクに水または砂を充填してから、タンクのまわりにモルタルなどを流し込み、タンクの機能を完全に停止させます。
地下貯蔵タンクは長期間使用されていなくても、中に可燃性ガスが充満していることがあります。そこへ金属の工具同士がぶつかり合って発生する火花や、静電気のような小さな火源が近づくと爆発を起こすことがあるので、非常に慎重な作業が必要になります。
地下貯蔵タンクの処理が終わったら、ガソリンスタンドの取り壊しがはじまります。
建物解体の手順
① 養生する
まずは建物のまわりを養生シートで囲っていきます。養生は、隣り合っている建物を傷つけないためや、埃の飛散を防ぐため、また防音のために役立ちます。
② キャノピーの解体
ガソリンスタンドの屋根の部分を取り壊していきます。
③ サービスルームなど、建屋部分の解体
④ 地下貯蔵タンクの撤去
地下タンクを撤去する場合は、土間コンクリートや基礎部分、配管などを取り除いたのちに掘り起こし、撤去します。タンクはその場では解体せず、形状を維持した状態で解体処分場へ運ばれます。
⑤ 整地
敷地内にきれいな土を搬入し、しっかりと転圧(土地をローラーなどで締め固めること)をし、埋め戻しを行います。
以下の業者さんのページには写真もあり、作業工程がとても丁寧に説明されています。ぜひ参考になさってくださいね。
地下貯蔵タンクの処理
参考 産業廃棄物の収集・運搬・処理・再生 三美興産株式会社 参考 【オイルタンクの定期点検・漏洩検査・メンテナンス】 有限会社中央油化土壌汚染調査・処理の手順
ガソリンスタンドは「特定施設」ではないため、土壌汚染調査は義務ではありません。しかし以下の自治体は条例等によりガソリンスタンド廃止時に調査を義務づけています。
- 東京都、埼玉県、香川県、愛知県
- 川崎市、名古屋市、さいたま市、横浜市
(2018年4月現在)
さらに近ごろでは、ガソリンスタンドの跡地を売却する際には、土壌汚染されていないという証明書を買主に提出するのが慣例となりつつあります。
ガソリンスタンド跡地で検出されやすい特定有害物質のベンゼンと鉛の基準値と調査法について見ていきましょう。
特定有害物質 | 土壌溶出量基準 | 土壌含有量基準 | 調査方法 |
---|---|---|---|
ベンゼン | 検液1Lにつき 0.01mg以下であること |
- | 土壌ガス調査 |
鉛 | 検液1Lにつき 0.01mg以下であること |
土壌1kgにつき 150mg以下であること |
土壌溶出量調査 土壌含有量調査 |
(参考:環境省パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」より)
土壌汚染調査の手順
土壌汚染調査はまず、調査する土地のこれまでの利用状況や特定有害物質の使用状況などの情報により、「土壌汚染のおそれがある」「おそれが少ない」「おそれがない」の3つの区分に分類するところからはじめます。
この区分によって、調査地点をどれくらいの間隔で置くかが決定されます。
調査地点を決めたら、ベンゼンの調査については土壌ガス調査を、鉛の調査については土壌溶出量調査および土壌含有量調査を行います。
土壌溶出量・土壌含有量調査は、人が日常生活で摂取しうる表層(地表から5cm)の土壌と、5~50cmまでの深さの土壌、2種類の土壌を採取し、量が均等になるように混ぜたもので値を測定します。
溶出量は土に含まれる対象物質が「水にどれだけ溶けるか」を、含有量は「土にどれだけ含まれているか」を意味します。
土壌ガス調査とは、土壌中の気体(土壌ガス)を採取して、汚染の有無と、汚染の平面的な広がりを調べるものです。
調査法は、地表から80~100cmの深度でボーリングバーなどを差し込み、土壌ガスを採取し、値を測定します。このとき有害物質が検出された地点では、さらに汚染の深さを調べるため、5~10mのボーリング調査を行います。
(参考:環境省「土壌汚染対策法の施行について」より)
汚染土壌に対する措置
土壌汚染対策法では、有害物質の種類・濃度や、人が有害物質を摂取するまでの経路などによって措置方法が定められています。
有害物質が基準値を超過してしまった場合は、有害物質を含む土壌を直接摂取(口や鼻、皮膚呼吸など)する経路を遮断するための措置がとられます。
汚染土壌に対する措置の例
- 汚染された土地を立ち入り禁止にする
- 汚染土の上をアスファルトやコンクリートなどで覆い、舗装する
- 汚染土の上に盛土する
- 汚染土を掘削し、上からきれいな土を搬入する
また、土壌溶出量が基準値を超えている場合は、土の中の有害物質が水に溶け出し、地下水へ流れていってしまう可能性があるので、まずは指定区域内において地下水の水質のモニタリングを行い、地下水の浄化基準を超えた場合は以下のような措置がとられます。
- 汚染土の範囲を囲むようにして、遮水壁を打ち込む(原位置封じ込め措置)
- 汚染土中の有害物質を不溶化するための薬剤を土壌に注入する(原位置不溶化措置)など
(参考:環境省「土壌汚染対策法に係る技術的事項について」より)
油汚染調査・処理について
油汚染は、土壌汚染とは異なり法的な基準値や規制値が定められていないので、調査は人の感覚(嗅覚、視覚)によって油臭や油膜の発生があるかどうかを判定します。また、人の感覚を補完する手段として、TPH(全石油系炭化水素)試験というものもあります。
油汚染調査の例
地表に油汚染があるかどうかの調査
地表の油汚染の調査は、調査実施者が現地に行って、油臭がないか確認を行います。調査は基本的に大人が立った状態で行いますが、調査する土地が今後、公園など、人が地表に触れることが想定される場合は、地面に仰向けになった状態で行います。
井戸水などに油汚染があるかどうかの調査
調査する土地の敷地内に井戸がある場合は、調査実施者が蛇口または井戸内から井戸水を採取して、目視で油膜の確認、匂いを嗅いで油臭の確認を行います。
TPH試験
TPH試験は土壌や井戸水を採取して行い、試験結果により以下のようなことがわかります。
- 油臭や油膜が鉱油類かどうか、また油種はなにか
- 油含有土壌がどの程度あるのか(平面と深度両方向の把握ができる)
- 対策範囲がどこまでなのか
- 対策が完了したかどうか
油には様々な種類があり、油汚染を発生させている油の状態も様々なので、どんな種類の油がどんな状態であるために、油臭や油膜を発生させているのかをTPH試験で分析してから対策します。
以上のように、油汚染調査によって油汚染が発生していると認められた場合は、いくつもの地点でTPH試験を行うことにより、油汚染の広がりと深度を計測していきます。
「油汚染があったので調査してみたら、原因は他の施設だった!」ということもあります。まずは以下のような調査会社さんに相談してみるとよいでしょう。
参考 土壌汚染調査 株式会社ジオリゾーム 参考 油汚染 | 土壌汚染対策 | サービス・ソリューション 大成建設株式会社また、環境省のパンフレットには、調査会社を選ぶ際に公益法人(社)土壌環境センターの会員リストを参考にするといいと紹介されていました。
参考 会員企業 一般社団法人 土壌環境センターこちらもぜひ参考にされてください。
ガソリンスタンドの解体工事事例
ここからは実際に当協会を利用してガソリンスタンドの解体を行った事例をいくつかご紹介します。
事例1 鹿児島県指宿市のガソリンスタンドの解体
約200m²の敷地にあるガソリンスタンドで、土地を整備して新たに運用するために解体工事を検討しているご依頼でした。
当協会からは2社ご紹介させていただき、見積りの金額はそれぞれA社355万円、B社が429万円という結果でした。
ご依頼された時には、既に閉店しており、事務所と倉庫、キャノピー、給油機4台、そして地下タンク2基の撤去をご希望でした。
なお、地下タンク内は未洗浄であったため、洗浄を含めた金額が見積書に含まれています。
事例2 愛知県西尾市のガソリンスタンドの解体
土地面積220坪とかなり広い敷地にあるガソリンスタンドの解体事例です。
当初のご希望は地下タンクも含めて900万円以内で工事を済ませたいとのご希望でした。
結果、当協会からご紹介した業者の見積り金額は822万円と、ご希望の範囲内で収めることができた事例です。
なお、こちらのガソリンスタンドはご依頼いただいた当時まだ営業中で、閉店の告知をして半年から1年以内に取り壊しをする予定でした。
工事の規模も大きかったため、ガソリンスタンドの解体に伴う補助金の申請も検討されており、計画的に解体工事を進められていたご依頼でした。
事例3 和歌山県有田市
土地収用にあたってガソリンスタンドの解体を検討されていたご依頼で、地下タンク5本の撤去を希望されていました。
ご紹介したG社の見積り金額は、750万円という結果でした。
なお、建物部分は既に別業者で解体することが決まっていましたが、タンクの撤去が対応できない業者だった為、今回のご依頼に至ったそうです。
また、施工時期の指定もありましたが、期限内に対応させていただくことができました。
ガソリンスタンド解体にかかる費用と補助金について
ガソリンスタンドの解体撤去費用は、もちろん施設の規模にもよりますが、だいたい数百万から一千万円程度かかるといわれています。
さらに敷地内で土壌汚染が認められた場合、処理費用は最大数千万円にのぼることもあります。日頃からのタンクなどの管理がとても重要になってきますね。
地下貯蔵タンクの撤去工事には補助金がおりることも
ガソリンスタンドの解体工事の中でも、地下貯蔵タンクの撤去工事に限り、全国の石油協会を介して経済産業省から補助金を受け取れるかもしれません。
石油協会が提示している補助金申請のための手引書(平成30年度版)を見てみましょう。
手引書には、補助の対象となるのは「地下埋設物等の撤去工事」とありますが、具体的には、ガソリンスタンド閉鎖時における地下タンク・配管をすべて撤去する工事のことです。
申請資格は「中小企業等」、「財務状況の厳しい者」とあり、細かい条件は手引書に記載されていますので、ご確認ください。
また、手引書のタイトルには「過疎地等における石油製品の流通体制整備補助事業」とありますが、「過疎地等」とあっても中小企業であれば、例えば都内の街中にあるガソリンスタンドであっても補助金が受け取れるそうです。
補助金はどれくらいもらえる?
補助金額の算出式はこちらです。
補助金額 = 補助対象経費 × 補助率(2/3)
補助の対象となる経費は、地下埋設物等(地下タンク・配管など)の撤去工事費です。
ただし、補助対象経費には上限額があり、1000万円までと定められています。さらに補助金額は、補助対象経費に補助率(3分の2)をかけて求めます。
ですから、補助金を満額受け取った場合でも、1000万円 × 2/3 = 666万6666円 となります。
補助金の申請から交付までの流れ
補助金を受け取るには、必ず着工前に石油協会へ補助金交付申請書を提出しなければいけません。その後、石油協会から工事開始許可書が送られてくるので、工事はそれから開始することになります。
① 補助金交付申請書を提出する
「補助金交付申請書(撤去工事用)」を記入して所属の石油組合に提出しましょう。申請書の他に、2枚の誓約書と役員等名簿など、全8ページ分の書類に目を通し、記入をして、添付書類とともに提出する必要があります。
(申請書は石油協会のホームページからでも印刷できます)
② 補助金交付申請書の審査
③ 補助金交付決定通知書が届く
審査を無事通過して補助金の交付が決定すると、工事開始許可書(補助金交付決定通知書)が石油組合から届きます。
④ 工事契約を締結し、着工する
補助金交付決定日以降に契約を締結し、工事を開始してください。
⑤ 補助金実績報告書を提出する
「実績報告書」を記入して所属の石油組合に提出しましょう。実績報告書にも工事工程写真などの添付書類がたくさんあるので、しっかり確認しておきましょう。
⑥ 補助金実績報告書の審査
⑦ 補助金額確定通知書が届く
審査を無事通過して補助金の金額が確定すると、通知書が届きます。
⑧ 補助金支払請求書を提出する
⑨ 補助金交付
石油協会から補助金がおります。⑧の補助金支払請求書の提出から、実際に補助金が送金されるまでは約1ヶ月程度かかります。
もし石油協会からの許可前に工事を開始してしまうと補助金が受け取れなくなってしまいます。
また、工事の見積書も石油協会専用のものを使用し、地下タンク・配管はすべて撤去することが条件ですので注意しましょう。
補助金の手続きは添付書類も多く、複雑ですね。石油協会の手引書をしっかり読みながら進めていきましょう。
解体業者の選び方は?
ガソリンスタンドを解体しようというときは、まずガソリンスタンドを建設した業者さん、現在メンテナンスを行ってくれている業者さんに解体工事の相談をしてみるといいかもしれません。または、ご自身でガソリンスタンドの解体実績がある業者さんを探してみるのもよいでしょう。
ただし、必ずいくつかの業者さんに見積もりをとってもらい、工事の内容に漏れがないか、撤去物の数量などが合っているかを確認し、費用を比較して、依頼する業者さんを決定しましょう。
また、見積りを依頼する際には、以下の資格・条件を満たしているか十分に確認しましょう。
- 消防法の甲種または乙種第4類危険物取扱者を現場に常駐させることができる業者であること
- 産業廃棄物の適正な処理を知っている業者であること
- 工事工程写真を的確に撮れる業者であること
- 地下埋蔵物等撤去工事を一括請け負いできる業者であること
(引用:山形県石油協同組合の手引きより)
特に最後の2条件については、補助金を受けるために非常に重要です。工事工程写真は、上で紹介した解体業者さんのように一枚一枚日付を入れて確実に撮り、実績報告書の添付書類として石油協会に提出する必要があります。
ガソリンスタンドを解体したことがある業者さんなら補助金申請についても詳しい場合が多いので、よく話し合って信頼できる業者さんを選びましょう。
ガソリンスタンドの解体工事についてのまとめ
エネルギー供給の拠点として、安全性を十分に確保しながら建てられたガソリンスタンドは、解体・撤去するのも大変なことですね。
ガソリンスタンドの解体を考えているなら、まずは石油協会や元売会社に相談してみましょう。手続きや補助金についてなど、いろいろとサポートしてくれるはずです。土壌汚染があった場合に元売会社がすべて処理してくれたとの経験談もありました。
参考 一般社団法人全国石油協会以下のリンクは全国石油商業組合連合会のファイルですが、ガソリンスタンドを自主廃業された方々の経験談や、各種手続きの仕方などがくわしく載っています。ぜひ参考になさってください。
参考 小規模石油販売業者の経営継続(事業承継・自主廃業)に関するQ&A