相続した家屋の解体費用

売却・相続・建て替えなどの目的別に、
費用を抑えるポイントや、事前に知っておきたいポイントをまとめました。

土地建物の相続について

相続に関する解体工事について

土地建物は、相続ごとに不動産の登記名義を変更しているか否かに関係なく、法定相続人に相続されることとなっています。

土地建物の名義人(Aさんとします)の相続が発生した時に、その財産はAさんの相続人(Bさん)に相続されます。
次にBさんが亡くなると、土地建物もBさんの相続人(Cさん)に相続されます。原則、これが繰り返されます。

解体費用は相続人の負担となります

相続した建物の所有権は相続人が引き継ぎます。

所有者となった相続人は、対象の建物を適切に維持・管理をする義務を負います。倒壊する危険があるほど老朽化していた場合などは、解体する必要があるでしょう。その際の費用は所有者である相続人が負担します。

登記簿上の所有者の許可がなければ解体できません

土地や建物には所有権があります。これは「登記」、つまり所有している方の名義が国に登録されていることを意味します。

土地建物を所有されている方のことを「所有者」や「名義人」と呼んでおり、解体工事を行うにあたっては、基本的に「所有者(名義人)の許可」が必要です。

登記簿上の所有者の許可がなければ解体できません

登記簿上の所有者の許可がなければ解体できません

相続物件の所有者を確認しましょう

相続物件は、所有者が誰になっているかを明確にする必要があります。登記されていた所有者(名義人)が分かれば、誰がその土地についての所有権を行使できるか予測がたてられます。

土地や建物の名義に関して管轄しているのは法務局になりますので、該当する建物を管轄する法務局に問い合わせをしてみましょう。
また、お手元に固定資産税納税通知書があれば、固定資産税納税通知書でも所有者を確認することができます。

建物の所有者を確認しましょう

建物の所有者を確認しましょう

法務局で登記情報を確認する

登記情報は登記簿謄本で確認することができます。登記簿謄本の交付請求は、最寄りの法務局または地方法務局で交付申請書に必要事項を記入し提出する必要があります。平日の午前8時30分から午後5時15分までであれば、いつでも登記簿謄本の交付請求が可能です。

なお、法務局はインターネットを利用したオンライン交付請求もおすすめしています。申請に行く時間が無くても手軽に行なえるので、詳細は公式ホームページをご確認ください。

固定資産税納税通知書で確認する

毎年送られてくる「固定資産税納税通知書」を確認する方法です。固定資産税納税通知書とは、不動産を所有する方に対して課税される税金の、税金算定の基準となる不動産の評価額や納付すべき額、支払い期限などを通知する書類です。通知書は対象の不動産の所在する市区町村から届きます。

納税通知書が送られてくる以上、地方自治体はあなたを建物の所有者として認めています。

建物所有者(名義人)が亡くなっている場合の対応

相続物件について、「建物の所有者だった父がもう随分前に亡くなっているのですが…」といった質問をいただくことがあります。

つまり、所有者(名義人)がいないケースです。解体工事を行うにあたっては所有者の許可が必要ですが、この場合は所有者の許可が得られません。しかし、所有者が亡くなっている場合は、相続人が解体することを許可できます。

相続人が分からない場合は戸籍を調べましょう

相続人がだれなのか分からない場合、戸籍で民法により定められた法定相続人を確認しましょう。戸籍は本籍地のある役所へ、戸籍謄本の発行を申請することで調べることができます。

なお、戸籍を調べて相続人を探したり、疎遠になっている相続人に連絡をしたりなど、負担に感じる時には、専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に依頼するとよいでしょう。相続は時間を掛けると、相続対象者の誰かが亡くなってしまったりして、二次相続となると、さらに面倒になります。早めに手続きを依頼することをおすすめします。

法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められている「被相続人の財産を相続できる人」になります。法定相続人は、

被相続人の配偶者と被相続人の血族(子供、親、祖父母、兄弟)のいずれかです。なお、被相続人の血族(子供、親、祖父母、兄弟)については、以下の通り相続順位が決められています。

  • 第1順位:子ども、代襲相続人(直系卑属)
  • 第2順位:親、祖父母(直系尊属)
  • 第3順位:兄弟姉妹、代襲相続人(傍系血族)

相続人が複数の場合は遺産分割協議が必要になる場合があります

登記簿の名義人が亡くなり、遺言書が無い場合は、相続物件は相続人全員の共有財産ということになります。このようなケースの場合、解体前に相続人全員の承諾を得ておかないと、解体することを知らなかった相続人との間でトラブルになる可能性があります。

誰が建物を相続して解体するのかを先に決定し、遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付)を作成しておくほうがよいでしょう。なお、遺産分割には、大きく3つの方法があります。

Case1:現物分割

現物分割

現物分割とは、1つ1つの財産を誰が取得するのか決める方法で、一番多い方法となっています。
例えば、子供が3人いたとします。親の住んでいた土地・建物は、長男が相続する。親の所有していた土地・建物は次男が相続する。 預貯金は、長女が相続するといった具合に分ける方法で、遺産そのものを現物で分けます。

この現物分割で相続していく場合、各相続人の相続分を等分に分けるのが難しいため、代償分割を取るケースもあります。

Case2:代償分割

代償分割

代償分割は、特定の相続人が、特定の財産(現物)を相続する代わりに、他の相続人に金銭などを与える方法です。例えば、長男が親の会社の資産(遺産)の株式や店舗(土地・建物)を相続し、その代わりに、長男が長女に代償金を支払うという方法です。

会社の遺産となった資産を単純に分割し、会社の財産をバラバラにしてしまうと、会社の財務状況にも影響が及んでしまいます。ですから、親の事業を承継するためにも、代償分割をとることもあります。

Case3:換価分割

換価分割

換価分割とは、遺産を売却してお金に換え、その金銭を分ける方法です。現物を分割すると、価値が下がってしまうケースや、相続人が複数いてなかなか考えが一致しない、譲り合えないケースは、換価分割を取る事があります。

換価分割は、遺産を処分するため、処分費用や譲渡にかかる所得税などを考える必要があります。

未登記の建物でも解体工事は可能です

建物が登記してあっても未登記でも、解体工事は問題なく行えます。なお、ここで取り扱う登記とは「建物表題登記」を指します。

建物表題登記とは?

新築の建物が完成した時に申請し、作成される登記です。
不動産の状態を示すもので、建物の所在地や構造、所有者などが記載されます。

新しく建物が完成した場合は、建築後一ヶ月以内に建物表題登記を行う必要があるため、多くの建物は登記されています。しかし、以前の所有者が手続きをしていなかったり、面倒や手間がかかり手続きを怠ったりと、未登記の建物は意外と少なくありません。

第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

登記を行わないとどうなる?

登記を行わなかった場合、建物の所有者は第三者に対抗することができません。つまり、「この建物は自分のものだ」と法的に主張できなくなるのです。第三者目線、言い換えるなら「誰が見ても」所有者が一目で分かるようにするのが、不動産登記です。

民法177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない

しかし、第三者が対抗すること(自分以外が建物の所有権を主張すること)が無い場合、未登記でも解体工事は行えます。

ただし、ひとつ注意事項があります。他に登記を行っている所有者がいた場合、他人の建物を勝手に壊すと建造物損壊罪が適用される点です。

他人の建物を解体したら『建造物損壊罪』

建造物損壊罪は、一般の器物損壊罪に比べ、財産価値の高い物の効力を失わせた場合に適用される重罪で、5年以下の懲役が課されます。

そのため、解体工事前には本当に建物が未登記かどうかを確かめる事をおすすめします。未登記かどうか確かめる方法は以下の方法があります。

固定資産税納税通知書:通知書にある建物の所在地欄に「家屋番号」が書かれていなければ未登記
法務局による登記されていないことの証明申請:未登記の場合「登記されていないことの証明」が交付されます

未登記の建物を解体した場合の手続き

解体業者と契約を結び、解体工事が終わった後は、通常であれば「建物滅失登記」を行います。滅失登記を行わないと建物に固定資産税がかかり続けるので、毎年余計に税金を支払うことになります。

しかし、滅失登記は表題登記にある情報を元に行うので、表題登記を行っていない建物を取り壊しても滅失登記は申請できません。そのため、未登記の建物を解体した場合は、滅失登記の代わりに家屋滅失届を提出して建物が無くなったことを証明します。

未登記の建物を解体した場合の手続き

未登記の建物を解体した場合の手続き

登記に関する質問は専門家に相談しましょう

登記は建物の新築後の登記や、増改築等の登記、滅失の登記など不動産そのものの変化を登記するものと、所有権・抵当権などの権利関係の変更を登記するものの2種類に分けられます。それぞれ相談する相手が異なります。

  • 不動産そのものの変化を登記する場合は、土地家屋調査士。
  • 権利関係の変更を登記する場合は、司法書士。
登記に関する質問は専門家に相談しましょう

登記に関する質問は専門家に相談しましょう

ですから、所有権や抵当権など権利に関することは、司法書士さんが適任です。その他、「そもそもこの建物は登記がされているのかな?」など、不動産登記そのものがどうなっているかということに関しては、土地家屋調査士さんが適任です。

相続した建物が空き家になる場合の注意点

国土交通省の「平成26年空家実態調査」によると、なんと52.3%もの空き家が「相続した」ものという結果になっています。

相続により不動産を手にする場合、あらかじめ相続した建物をどのようにするかなど決まってないことも少なくありません。
突然そのような状況になった時、親族間ですぐに相続した建物の扱いを決めるのは困難です。特に、故人の葬儀などでバタバタしている状況下では、時間的にも心情的にも難しくなります。

放置された特定空き家は所有者負担で強制的に撤去されます

建物を空き家の状態で放置し続けるのは得策ではありません。
現在、日本では空き家の増加を抑止するために以前のような特例措置がなくなり、多額の税金を支払うシステムに変わってしまいました。空き家の傷みが進み、行政から「特定空き家に指定される」と税金が高くなります。

近隣住民に人的被害を与る可能性がある建物と判断されれば、強制的に解体(行政代執行)される場合もあります。解体費用は建物所有者に請求されます。
行政代執行された解体費用は税金です。支払われない場合、税金と同様に回収が行われます。いわゆる差し押さえが可能ということになります。

また、行政代執行の場合、解体費用は高くなります。理由は単純で、ご自身で安価である解体業者を探すことができないからです。

空き家は撤去と再利用ではどちらが良いか?

相続した建物に誰も住まない場合、今後の選択肢が沢山あるようで迷うかもしれませんが、選択肢は大きく分けると2つです。建物を解体せずに活用するか、更地にした上で活用するかです。

もちろん、選択肢それぞれにメリット・デメリットがあります。また、地域や立地によって適した選択は異なります。

相続した家屋を更地にして土地を活用する

更地にして駐車場やコンテナ倉庫、発電プラントとして活用したり、コンビニエンスストアといった大手フランチャイズチェーン店に貸し出したりする事例があります。

土地を購入したいという個人の方もいれば、商業施設など企業さんがビジネス利用として活用したいと思っているところもあるでしょう。
地元の業者など繋いでくれる不動産会社や銀行の担当者などと連携を取りながらやってみるといいかもしれません。

メリットは、更地にすることで用途の幅が広がり、買い手や借り手も見つかり易くなること。
デメリットは、先行投資として解体費用を負担しなければならないことです。

建物を残して賃貸やレンタル物件として活用する

建物を修繕したり、リノベーションしたりして賃貸物件として家賃収入を得る事例があります。その他、地域のコミュニティの場や会議室、イベント会場として貸し出すなどの活用方法もあります。

メリットは、建物の状態がいい場合は初期投資額が少なく済むことです。
デメリットは、更地にする場合に比べて活用方法が限定的になることです。また、建物の傷みがひどい場合は修繕やリノベーションが高額になります。借り手が現れず、結局、解体を余儀なくされれば修繕費は無駄になります。

空き家問題の解決や活用についても無料でサポートします

自治体とも提携している空き家ワンストップ相談窓口です。
ご所有の建物が「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定された場合の対応についてサポートできます。
その他、空き家の「賃貸活用」「取り壊し」「管理」、土地の「駐車場活用」「売却」等についてもサポートやプランのご提供を行っています。

空き家相談窓口

行政による解体工事に対する補助制度

相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除

空き家を相続した場合、一定の条件を満たすことで「空き家3,000万円特別控除」を受けることができます。被相続人が居住していた家屋や土地などを相続した相続人が、相続開始日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに、相続した家屋または更地にした土地を譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円が控除されます。

満たすべき条件の例は以下の通りです。

満たすべき条件の例

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋である
  • 区分所有建築物(マンション・アパート等)以外の家屋である
  • 相続直前において、被相続人の居住用としていた家屋である
  • 相続直前において、被相続人以外に居住していた者がいない
  • 相続時から譲渡時までの間、事業用、貸付用としていない
  • 家屋の譲渡であれば、耐震性がない家屋は耐震リフォームしている 等

空き家に対する助成制度

各行政では、増え続ける空き家による景観の悪化や犯罪の誘発リスクを軽減するため、除却するための費用を賄う助成金制度を設けています。解体工事予定地の市区町村に助成金制度があるか確認してみましょう。

ご自宅/空き家/店舗/オフィス/ビル/アパート/別荘/遠方にある建物/火災物件/木造/鉄骨造/RC造/内装解体/スケルトン解体/
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