大規模な解体工事は実績のある解体業者に任せましょう
ビルなどの大きな建物の解体工事は、一般住宅の解体工事とは異なる点が多々あります。
そのため、保有されているビルの解体工事を検討されているオーナー様の中には、解体工事をどのように進めればよいか、大型物件ならではのポイントを知りたい方も多いかと思います。
本記事では費用や工期、大型物件と一般住宅の解体工事の違い、工事を依頼する際の注意点など、ビルの解体工事で確認しておきたいポイントを詳しく解説していきます。
建て替え、売却、立ち退きなどのご事情から解体工事をお考えの方は、トラブルや失敗のない工事のためにもぜひ本記事を参考になさってください。
ビルの解体費用も、建物の構造で大きく変動します。
ビルの構造は、主に「鉄筋造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造」の3種類です。
ビルの構造 | 坪単価の相場 |
---|---|
鉄骨造 | 3万円〜 |
鉄筋コンクリート造 | 5万円〜 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 6万円〜 |
老朽化したビルの場合、アスベストが含まれていることが多いため、その分解体費用が高額となります。
「解体無料見積ガイド」では、ビルの解体についてもご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。
実際に当協会を利用して行われた、東京都台東区の4階建て51坪のビルを解体した例を紹介します。
2社から見積りを取った結果、以下の通り195万円の金額差がありました。
A社:980万円
B社:1,174万9,507円
同じビルでも解体業者によって取り壊しの方法が異なる場合があり、金額差が大きくなってしまうことは珍しくありません。
また、地域や立地などの条件によっても金額差が生じる場合があります。
以下は兵庫県神戸市で行われた4階建て103坪のビルを解体した際の見積りです。
C社:660万円
D社:680万円
こちらの事例は、自宅と事務所が一緒になっているビルで、室内の残置物などがない状態でした。
同じように2社から見積りを取った結果、20万円の金額差がありました。
ビルやマンションと一般住宅とでは、解体工事において下記のような点が異なります。
それぞれ、詳しく解説していきます。
見積り金額が500万円以上の解体工事は、解体工事業の許可に加えて建設業の許可を取得している業者でなければ、請け負うことができません。
一般住宅の解体工事と比べ、ビルやマンションの解体工事は大規模なものになります。工事にともなう危険性がより一層高まるため、適切な安全管理や綿密な施工計画を実現できる業者にのみ施工が許可されるのです。
鉄筋・鉄骨構造体であるビルやマンションの解体工事は、木造建築物の解体に比べて大がかりな作業になり、騒音や振動も大きくなります。このような著しい騒音や振動は「特定建設作業」と定められています。
振動規制法や各市区町村の条例では、生活環境の保全や、人の健康の保護を図るため、特定建設作業を行う前に、必ず特定建設作業届(特定建設作業実施届出書)を作成・提出することを求めています。
アパートやマンション、ビルの解体をする場合、住宅地など建物が密集しているようなところでは、効率の良さだけではなく、周辺建物への影響を最小限にする為の安全性の確保や環境親和性も求められます。
解体作業は大きな騒音やホコリ、使用する重機やダンプの振動は避けて通れません。事前に近隣の皆様にご挨拶し、工事の説明をしておくことが大切です。
鉄筋・鉄骨構造体であるビルの解体工事は木造建築物の解体以上に粉塵が出るので、ホコリが舞い散らないよう充分な散水をしながら工事を進めます。仮設養生については防音シートよりも強度があり、高さを設けても安定する防音パネルを主に用います。
また、特定建設作業は騒音85デシベル・振動75デシベルと規制基準が定められていたり、作業可能時間や1日の最大作業時間にも制限が設けられています。
ビルやマンションの解体工事で用いられる工法は、下記の5つが現在の主流となっています。
ビルやマンションの解体工事で用いる上記のような工法は、一般住宅の解体工事では出番のない大きな重機が主役となります。また、特殊な工法を用いることから、施工可能な業者が限定される場合もあります。
RC造やSRC造の建物は見積り金額が高くなる傾向にあります。RC造やSRC造の建物は、木造の建物に比べて頑丈ですが、取り壊しの難易度も高くなるためです。
また「目に見えない部分」が多いため、実際に工事を行ってからでないと見積りに算出できない部分が多々あります。
例えば、基礎や地中杭のような目視で確認できない部分は、経験豊富な解体業者であっても憶測で金額を提示することしかできません。
正確な費用の算出が難しいため、あらかじめ余裕を持った見積金額を提示する解体業者も多く、実際の工事費用と大きな差が生じる可能性があります。
ビルやマンションの解体工事は、見積金額の妥当性が分かりづらい特徴があります。そのため、出された見積りを鵜呑みにしてしまうのは危険です。
費用を抑えるポイントを確認して、適正価格でビルやマンションの解体工事を行えるようにしましょう。
見積りを出すうえでの参考資料として、建物の図面を解体業者に提出しましょう。図面を見ることで、解体するビルやマンションについて「どういった箇所に、どんな工事をしているか」がわかります。そのため、解体業者としてもより正確な見積りを出しやすくなります。
築年数の経っているビルやマンションの場合は、図面が見つからない場合もあるかもしれません。その場合、ビルやマンションを施工した建設会社に、図面が残っていないか問い合わせをしてみましょう。
見積りを出す際は、解体業者にビルの現地調査を依頼しましょう。また、現地調査の際には、お施主様も立ち合いのもと、ビル内部の細かい部分まで見てもらうのが大切です。
ビル内に残置物や設備が残ったままになっていると別途で撤去工事が発生したり、廃材の量が正しく見積もれなかったりする場合があります。
仮に立会がなく、外観のみで現地調査をしてしまうと、正しい見積りが出せず別途に追加費用が発生する可能性があり、工事が途中で中断してしまうケースも少なくありません。
できるだけ現地調査には立ち会いのもと、なるべく正確な見積りを事前に出してもらうようにしましょう。
ビルの解体は一般的な住宅と比べて規模が大きく、専用の重機が必要になったり、異なる工法で工事を進めなければならなかったりするため、業者によっては対応ができない場合があります。
また、コンクリート片は処分費用が割高なので、リサイクルの方法や利用する処分場についても十分な知識が必要です。
そのため、ビルの解体では業者選びが非常に重要といえるでしょう。可能であれば、複数の業者から見積りを取って、作業工程や金額を比較しながら決められると費用を抑えられる可能性があります。
一般的に解体工事の繁忙期は12月から年度末にかけてといわれており、ビルの解体についても同じ時期は依頼が混み合い、費用が高くなる傾向があります。
そのため、少しでも費用を抑えて工事を済ませるのであれば、閑散期に工事をずらすのが効果的です。
ただし、鉄筋コンクリート造のビルは木造や鉄骨造に比べると工期が長くなる傾向にあるので、工事の時期については余裕をもって見積りなどは早めに取り組みましょう。
地中杭は、建物の地盤を補強するために基礎に打ち込まれる杭のことです。ビルやマンションといった大きな建物を建てる際や、地盤が弱い地域で建物を建てる際に用いられることが多くあります。
解体後の土地活用を見据えた場合、地中杭は抜くことが一般的です。地中杭を撤去することを杭抜き工事と呼びます。杭抜き工事は解体工事の項目の中でもとくにコストがかかる工事であるため、ビルやマンションなど解体する建物の規模が大きくなるほど費用が増加します。
解体後の売却を見据えた地中杭の撤去について参考となる質問と回答を以下に紹介いたします。
解体工事に伴う杭基礎撤去についての質問です。空き家を解体して売却する予定です。解体工事で基礎をめくると杭基礎がでてきました。
中略○媒介契約を結んでいる不動産の見解
・抜くことを進めます。
・抜かないと売却価格も下がるし売却しにくい。
・抜くことによって近隣への影響はまずない。
・抜かずに売却したら後々トラブルになる。○知り合いの建築士の見解
・抜く場合は慎重に。
・木造の家に杭基礎をしているということは、地盤が弱いので安易に抜くと地盤沈下の恐れがある。隣地境界付近の杭を抜くのは慎重に。
・売却後地盤沈下すると買主の責任か売主の責任かトラブルになる。
・近隣がすべて杭基礎をしているなら心配なし。
・重要事項説明に杭基礎ありと明記して売却可能。○解体業者の見解
・売却なら抜くのが一般的。
・地中4m~5m以上は専用の重機が必要。
・別途費用発生。家の詳細です
・築50年~60年の木造の家
・敷地面積は約130坪
・建物面積は1F約60坪
・図面なし
・解体後売却予定
・杭の本数、長さ不明
・北隣3階建てマンション 南隣1戸建て杭基礎を抜いて売却か、抜かずに売却かどうしたらいいのでしょうか?
また、杭基礎撤去費用は1本いくらくらいなのでしょうか?また、杭基礎撤去費用は1本いくらくらいなのでしょうか?
どなたか詳しい方ご教示ください。
ベストアンサー
よろしくお願いします。不動産業者です。
知り合いの建築士の見解どおり、重要事項説明に杭基礎ありと明記すれば抜かずとも売却は可能です。
ただし、可能なだけで売れるかどうかは別の問題です。
地盤補強工事は建築する建物の規模や構造・重量によって違っていますので、今ある杭が邪魔になるかもしれません。
そうなれば当然撤去ということになります。
そのような手間暇のかかる土地が売りやすいかどうかです。
それでも売れると思うなら、抜かなくても構わないでしょう。
引用:Yahoo!知恵袋
地中杭の扱いは、解体後の土地の活用方法や現場の状況によっても異なります。「地中杭があった場合は必ず抜かなければならない」というわけではないため、まずは現場を確認し、解体業者や不動産屋などと相談しながら慎重に事を運びましょう。
アスベスト含有製品は段階的に規制されており、現在は製造、使用などが完全に禁止されています。しかし、完全に規制される前の2006年以前に建てられた建築物には、建材として使用されている可能性がかなり高いといえます。
特に1950年代から70年代に建てられたビルには、飛散性が最も高い「吹付けアスベスト」のほか、壁や床にもアスベスト含有断熱材などが使われている場合があります。アスベストを含む際は、危険度に応じた除去工事の手配が必要です。
アスベストが含まれる建物の解体については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ビルは一般的な戸建て住宅と比べて規模が大きく、ほとんどが鉄筋コンクリート造と頑丈なので、取り壊しには手間が掛かります。
さらに、近隣の状況によっては工事できる時間が限られていたりする場所が少なくありません。
状況によっては協力業者などを使って無駄なくスムーズに工事を進める必要があります。スケジュールや下請け業者の監理など、通常の解体工事にはない業務が発生する現場も少なくありません。
そのため、ビルの解体では業者探しをより慎重に行う必要があります。中には、ビルなどの規模が大きい現場のみを専門に扱う業者もあるので、これまでの施工実績などを確認しながら経験豊富な業者を探しましょう。
解体工事を予定しているビルに、まだテナントなどが残っている方はご注意ください。
これまでには、老朽化したビルの取り壊しに伴い、月10万円ほどの賃料だった店舗へ立ち退きを要求したところ、ビル側に1,000万円近くの立ち退き料が請求された裁判事例があります。
このように、立ち退きを巡って企業間でトラブルが起きてしまうと、高額な立ち退き料が発生してしまうだけでなく、ビルの解体工事を延期せざるを得ない自体にもなりかねません。
そのため、ビルの立ち退きなどは事前に十分な余裕を持って告知するようにしてください。どうしても解決の見通しが立たない時は法律の専門家に相談することも視野に入れておきましょう。
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