スケルトン解体の費用 建物を骨組みだけにする工事の特徴を解説

スケルトン解体の費用は、建物を全て解体する場合と比較して安価であることが特徴的です。

ただし、スケルトン解体では想定外の追加費用が発生する場合も多く、事前の心構えも必要となります。

また一方で、お施主様の一手間によってスケルトン解体の費用を抑えられる可能性もあります。

そこで本記事では、スケルトン解体の費用について詳しく解説していきます。

スケルトン解体を検討されている方は、費用の概算を知るうえでの参考になさってください。

スケルトン工事とは

スケルトン解体工事とは、建物の骨組み以外の内装部分をすべて解体する工事のことを指します。

飲食店や美容サロン等の店舗として利用したテナント物件を、貸主に返却する際に行うことが一般的です。

そのほか、住宅、アパート・マンションのリフォームやリノベーションの際にも、スケルトン解体によって内装をすべて取り除くことがあります。

壁、天井、床、水道管、電気設備などもすべて撤去することで骨組みだけが残るため、内装や設備などを新しく取り替えることができます。

スケルトン工事のメリットとデメリット

スケルトン工事には、メリットとデメリットの両方があります。

スケルトン工事によるメリット

スケルトン工事には、間取り設計の自由度が高まるメリットがあります。

骨組みだけが残っている状態なので、契約の範囲内であれば、自由自在に間取りやレイアウトを変えることができます。

スケルトン工事によるデメリット

スケルトン工事には、工事費用が高額になるデメリットがあります。

内装解体に比べて解体の範囲が大きくなるぶん、工事日数がかかるためです。

また、スケルトン解体後には内装や設備を一から揃える必要があるため、初期費用も多くかかります。

スケルトン解体の費用相場

スケルトン解体の費用相場は、平均で84万7,334円です。

スケルトン解体の費用相場を具体的にイメージしていただくため「店舗」「住宅」「アパート・マンション」それぞれの費用相場をご紹介いたします。

なお、このスケルトン解体の費用相場は、当協会(一般社団法人あんしん解体業者認定協会)を介して行われた実際のスケルトン解体の費用をもとに算出しています。

建物の種類 スケルトン解体の費用相場
店舗 883,772円
住宅 321,925円
アパート・マンション 1,018,874円

スケルトン解体の費用実例

続いて、実際に行われたスケルトン解体の費用実例をご紹介します。

ご紹介するのは「エスティックサロン」「整体院」「フィットネスジム」「飲食店」のスケルトン解体の見積りデータです。

エスティックサロンのスケルトン解体事例

エスティックサロンのスケルトン解体では、総額126万1,590円の見積りが出ています。坪単価は、3万6,252円です。

エスティックサロンは個室が設けられている性質上、スケルトン解体においては「造作間仕切り壁撤去」「造作天井解体撤去」といった費用が高くなる傾向にあります。

階数 6階
坪数(m²) 34.8坪(115m²)
建物解体費用 95万5,750円
総額 126万1,590円
品名 数量 単位 単価 金額
脚立足場 1 30,000円 30,000円
整理清掃片付け養生費 115 350円 40,250円
搬入出経路部養生費 1 30,000円 30,000円
造作間仕切り壁撤去 70 1,800円 126,000円
造作間外周壁撤去 40 1,800円 72,000円
造作天井解体撤去 115 1,800円 207,000円
天井内ダクト撤去 1 30,000円 30,000円
床仕上げ材撤去 115 1,500円 172,500円
シャワー室撤去 1 35,000円 35,000円
トイレ撤去 1 35,000円 35,000円
空調機撤去 1 50,000円 50,000円
雑解体工事 1 80,000円 80,000円
残置物撤去 4 12,000円 48,000円
諸経費 191,150円
値引き 0円
小計 1,146,900円
消費税 114,690円
合計金額 1,261,590円

整体院のスケルトン解体事例

整体院のスケルトン解体では、総額65万円の見積りが出ています。坪単価は、3万2,663円です

こちらの整体院のスケルトン解体では「廃材収集運搬処分工」が総額の半分以上を占めています。

階数 1階
坪数(m²) 19.9坪(65.8m²)
建物解体費用 59万7,000円
総額 65万円
品名 数量 単位 単価 金額
近隣周知案内 1 15,000円 15,000円
養生費 1 15,000円 15,000円
外部 1 20,000円 20,000円
外周壁・間仕切壁 1 18,000円 18,000円
造作天井 1 20,000円 20,000円
造作床 1 22,000円 22,000円
造作什器 1 10,000円 10,000円
給排水設備機器 1 20,000円 20,000円
電気設備機器 1 14,000円 14,000円
空調設備機器 1 28,000円 28,000円
人力積込み手間 1 35,000円
廃材収集運搬処分工 30 12,000円 360,000円
モルタル・パテ補修 1 20,000円 20,000円
諸経費 30,000円
値引き -39,700円
小計 627,000円
消費税 62,700円
合計金額 650,000円

フィットネスジムのスケルトン解体事例

フィットネスジムのスケルトン解体では、総額94万6,000円の見積りが出ています。坪単価は、2万1,548円です。

置き型のウエイトマシンなどが設置されているフィットネスジムの場合、内装自体はシンプルなつくりである場合が多く、スケルトン解体の坪単価としてはそれほど高くありません。

階数 1階
坪数(m²) 43.9坪(145m²)
建物解体費用 83万1,000円
総額 94万6,000円
品名 数量 単位 単価 金額
天井解体 145 800円 116,000円
床解体 145 1,000円 145,000円
内装解体 1 60,000円 60,000円
間仕切り壁解体 1 60,000円 60,000円
シャワー室解体 1 30,000円 30,000円
廃材小運搬積み込み費 1 80,000円 80,000円
解体廃材運搬処分費 1 200,000円 200,000円
道路使用許可申請費 1 20,000円 20,000円
防災設備工事 1 人工 40,000円 40,000円
電気工事 1 人工 40,000円 40,000円
設備工事 1 人工 40,000円 40,000円
諸経費 30,000円
値引き -1,000円
小計 860,000円
消費税 86,000円
合計金額 946,000円

飲食店のスケルトン解体事例

飲食店のスケルトン解体では、総額132万円の見積りが出ています。坪単価は、9万4,964円です。

こちらの飲食店の厨房の床は土間コンクリートであるため、スケルトン解体で斫り(はつり)工事が発生し、費用が高くなっています。

階数 1階
坪数(m²) 13.9坪(46m²)
建物解体費用 123万2,000円
総額 132万円
品名 数量 単位 単価 金額
搬出用資材 1 10,000円 10,000円
工事用資材 1 15,000円 15,000円
消耗費 1 5,000円 5,000円
養生 1 5,000円 5,000円
インフラ切り離し 電気 1 30,000円 30,000円
インフラ切り離し ガス 1 12,000円 12,000円
インフラ切り離し 水道 1 8,000円 8,000円
フロンガス回収 1 40,000円 40,000円
天井ボード撤去 46 1,300円 59,800円
外周壁撤去 58 1,400円 81,200円
造作物撤去 1 40,000円 40,000円
間仕切り壁撤去 1 50,000円 50,000円
床仕上げ撤去 25 1,000円 25,000円
トイレ撤去 1 30,000円 30,000円
厨房器具撤去 1 30,000円 30,000円
厨房土間斫り 21 6,000円 126,000円
グリストラップ撤去 1 12,000円 12,000円
防水撤去 22 2,000円 44,000円
設備配管撤去 1 12,000円 12,000円
エアコン撤去 1 15,000円 15,000円
看板撤去 1 30,000円 30,000円
ファサード撤去 1 20,000円 20,000円
同上発生材小運搬 29 3,000円 87,000円
木くず 5 6,000円 30,000円
廃石膏ボード 2 20,000円 40,000円
混合廃棄物A 8 15,000円 120,000円
混合廃棄物B 2 25,000円 50,000円
廃プラスチック 5 13,000円 65,000円
がれき類 2 25,000円 50,000円
コンガラ 5 6,000円 30,000円
引き取り運賃 6 10,000円 60,000円
諸経費 30,000円
値引き -62,000円
小計 1,200,000円
消費税 120,000円
合計金額 1,320,000円

スケルトン解体費用の特徴

スケルトン解体は、内装はすべて撤去しつつ建物の躯体(柱や梁など)は残すという特殊な工事です。

それゆえ、スケルトン解体の解体費用にはいくつか特徴的な部分があります。

躯体の解体費用がかからない

スケルトン解体の総額は、建物の全解体に比べると安価に済む場合が多いです。

スケルトン解体では、躯体の解体にかかる人件費が減るうえに、廃棄物も少なく済むためです。

ただし、スケルトン解体では柱や梁を傷つけないよう施工する必要があるため手作業も多く、工事範囲に対しては割高になります。

マンションにアスベストが使われている場合は除去費用がかかる

アスベスト含有製品は段階的に規制されており、現在は製造、使用などが完全に禁止されています。しかし、完全に規制される前の2006年以前に建てられた建築物には、建材として使用されている可能性がかなり高いといえます。

スケルトン解体でも事前調査は義務づけられており、アスベストの除去工事が追加された場合は費用が高額になることが考えられます。スケルトン解体とアスベスト除去の分離発注も視野に入れながら相見積りを取得し、適正価格の解体業者を見つけましょう。

アスベストが含まれる建物の解体については、こちらの記事で詳しく解説しています。

▷アスベストが含まれる建物を解体する流れと費用

躯体の補強に追加費用がかかる

スケルトン解体を行なうと、建物の躯体がむき出しの状態になります。

スケルトン解体した建物の躯体に腐食や破損が見えた場合は、耐震性の観点から補強工事が必要となる可能性が高いです。

補強工事が必要となれば、当然ながらスケルトン解体の費用も上がります。

また、建物の躯体の状態はスケルトン解体の着工後でないと分からないため、見積り金額には含まれず、追加費用として請求されることもあります。

長期間借りていた物件や築年数の高い建物をスケルトン解体する場合は、補強工事費用が発生する可能性について頭に入れておきましょう。

店舗やオフィス内の家具や備品を片付けると費用が抑えられる

スケルトン解体する建物の中には、店舗やオフィスで使用していた家具や備品が残っています。

残された家具や備品をスケルトン解体の際に業者が撤去すると、見積りの項目に「残置物撤去費」という項目が加わり、撤去する量などに応じて費用が発生します。

しかし、スケルトン解体の着工前にお施主様が撤去を済ませておくことで、残置物撤去費の発生を抑えることが可能です。

スケルトン解体の費用を抑えたい方は、ご自身で家具や備品を粗大ごみに出しておくなど、着工前に片づけておくことをおすすめします。

スケルトン解体の費用についてのまとめ

マンションのスケルトン解体における費用について解説しました。

スケルトン解体を行うためには、内装の解体費用以外にも、養生費や撤去費など、様々な費用がかかると分かりました。 また、不動産業者を間に挟むと余分な中間マージンが発生してしまう可能性があります。

少しでもスケルトン解体の費用を抑えるためには、見積り比較サイトを利用して、直接業者に見積りを依頼することが重要です。

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